穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

※当ブログの記事には広告・プロモーションが含まれます

夢日記

夢路紀行抄 ―不思議のダンジョン「狛犬の台座」―

夢を見た。 門前町の夢である。 神社への参道沿いに細長く形成されたその町は、歴史の滲みた土産屋などがところせましと軒を連ねて、参拝客でごった返し、あたかも縁日の趣を呈していた。 ――わが国目下の情勢では顰蹙を買うに相違ない、そんな光景の只中を。…

夢路紀行抄 ―きれいにならぬ―

夢を見た。 不毛極まる夢である。 夢の中、私は慣れ親しんだ自宅のシンクに突っ立って、ひたすら洗い物に勤しんでいた。 山積する汚れた食器を、無用な水道代が嵩まぬように効率を心がけつつ雪いでゆく。 ところがこれはどうしたことか、泡を落として水切り…

夢路紀行抄 ―車中談議―

夢を見た。 車の中の夢である。 ふと気が付くと友人の運転する車の助手席、そこに座って雑談に興じる私が居たのだ。 車内にはラジオも音楽もかかっておらず、ただ二人の話し声だけが響いていた。 友人は私に、多年の研究の果てに見出したという真理について…

夢路紀行抄 ―暁美ほむら 対 銀の人―

夢を見た。 地球を守護(まも)る夢である。 『魔法少女まどか☆マギカ』の主要人物・暁美ほむらがその能力で時間遡行を繰り返すうち、どういう理屈か『地球防衛軍5』の世界線へと迷い込み、わけもわからぬまま巨大生物やエイリアンどもと殺し合う――話の筋は…

夢路紀行抄 ―呪いと海に底は無く―

夢を見た。 名状し難き夢である。 最初、私は海に居た。 360度何処を見ても岩礁の一つさえ目に入らない、大海原のど真ん中。 空の青と海の蒼とで塗り潰された、ある種の異界に在って私は、大口開けて迫り来る人喰い鮫から必死の思いで逃げていた。――こともあ…

夢路紀行抄 ―牙を剥く脳みそ―

夢を見た。 何をやっても上手くいかない夢である。 蛍光灯の冷たい光。 意匠というものを一切凝らさぬ堅い壁。 無機質なことこの上ない、どこか病院を思わせる一室で、ふと気が付くと、私は太巻き寿司をつくる作業に従事していた。 部屋には私以外にも十人前…

夢路紀行抄 ―お墨付き―

夢を見た。 二度寝の合間の夢である。 一度は目を覚ましたにも拘らず、寒さと惰性に押し切られ、再び布団にもぐり込んだ私の意識はあっという間に夢の中へと旅立った。 その世界の情景は、現実世界の私の部屋とほとんど何も変わらない。机には炬燵布団が被せ…

夢路紀行抄 ―荒野を走るセルロイド―

夢を見た。 息せききって、疾走(はし)り続ける夢である。 昨夜の私の夢の舞台は、さながら『フォールアウト』シリーズにでも登場しそうな寂莫たる一面の荒野。道路らしい道路もなく、烈日に照らされ、ひび割ればかりが目に付く大地。そんな場所で、私は何…

夢路紀行抄 ―星の丸み―

夢を見た。 断崖を、延々下り続ける夢である。 それも『デスストランディング』に登場する、ロープ用パイルを使いながら。 パイルを突き刺し、ロープを垂らし、右に左にトラバースを繰り返しつつ下降してゆく。 ロープの限界、30メートル圏内に、次の下降の…

夢路紀行抄 ―葦名流 対 二天一流―

夢を見た。 『隻狼』の葦名一心と、『刃牙道』の宮本武蔵が立ち合う夢だ。 どうしてそうなったか、経緯についてはよく憶えていない。 確か私の夢世界では武蔵は一心の食客で、彼の屋敷で起居する身分であったのだ。 その武蔵がふとしたことから同じ食客の一…

夢路紀行抄 ―嗚呼懐かしのセンター試験―

夢を見た。 鉛筆を削る夢である。 夢の中、気付いてみれば私は懐かしのセンター試験会場に立ち返っていた。 人生を決める大一番――。 ところが斯くも重要な試験に、これはなんたる不注意か、ペンケースの中には万年筆しか入っておらず、シャーペンも鉛筆も消…

迫る台風、募る心労

大正時代に活躍した医学者にして文筆家、小酒井不木はその著書に於いて、 病中癪に障るものの一に検温器がある。検温器そのものが癪に障るのでなくて検温器の示す度数が癪に障るのである。よく考へて見れば検温器は正直に体温を示してくれるのであるから少し…

夢路紀行抄 ―墓参り―

夢を見た。 死者と話す夢である。 祖母の墓に詣でるために山奥の実家に向かったところ、なんと遺骨壺に納められたはずの祖母その人が、玄関口で 「てっ、よく来たじゃんけ」 と大層賑々しく出迎えてくれたからたまらない。 視界がくるめくような戸惑いに襲わ…

夢路紀行抄 ―絡みつく水―

夢を見た。 プールで泳ぐ夢である。 屋内型のプールであった。 幅は、広い。縦横ともに、明らかに五十メートルを超えている。 ところがその広いプールの総てのレーンに先客がいて、私の泳ぐ余地がない。 誰かが上がり、レーンが空くのを待つべきか? いや、…

夢路紀行抄 ―嵐の夜に―

風の音に聾され続けた夜だった。 台風15号が関東平野を舐め上げるように通過していった昨晩の話だ。吹き付ける風雨の凄まじさに家の骨組が悲鳴を上げて、その不吉な音色とひっきりなしな震動に、ともすれば防空壕でB-29の爆撃に耐え忍ぶ戦時中の方々の心に僅…

夢路紀行抄 ―キングギドラと赤備え―

夢を見た。 死の宣告の夢である。 月報、広告、押し花、新聞紙の切り抜き等々、購入した古書の中に「何か」が挟まっていることは、私自身多く経験したことである。 しかしながら硬貨が滑り出て来たことは、今朝の夢以外では未だない。それは床に落下して、硬…

夢路紀行抄 ―アポカリプスと乾電池―

夢を見た。 滅びた世界の夢である。『フォールアウト3』に於けるキャピタル・ウエイストランドのような、文明の痕跡がそこかしこに点在する荒野を彷徨っていた私は、やがてマンション――いや、アレは団地と呼ぶべきか――を発見。何か役立つ遺物はないかと期待…

夢路紀行抄 ―泥の浴槽―

夢を見た。 温泉のデモンストレーションを見物している夢である。 浴槽には最初、突っ込んだ指先がすぐ見えなくなるほどに濃い、きたならしい黄土色の泥水が満たされていた。そこへその温泉の湯を注ぐと、なんたることか、みるみるうちに濁りが晴れて美しい…

夢路紀行抄 ―夢中夢―

なかなか珍しい体験をした。 二重に夢を見たのである。 最初はパソコンがウィルスにやられてクラッシュする夢だった。ディスプレイを占拠するのは懐かしのブルースクリーン。 (Wikipediaより、ブルースクリーン) 対処法を探るべく傍らのスマホを手に取るも…

夢路紀行抄 ―八面玲瓏―

夢を見た。 富士を仰ぐ夢である。 確か、借りていたDVDの返却期限を勘違いしていたのが事のはじまりだったと思う。てっきり明日だと思い込んでいたのが、今日だったのだ。 あと六時間もすれば、延滞料として余計に金をとられてしまう。 (これはいかぬ) と…

夢路紀行抄 ―焼け跡―

よほど現状に不満があるのか、夢の私は学生時代に戻っている率が非常に高い。 今日の夢もそうだった。といっても、正確には半々だが。 修学旅行生として荷造りをし、バスに乗り込んだところまではよかったのだが、座った席はどういうわけだか運転席。子供の…

夢路紀行抄 ―軟体動物―

夢を見た。 山の中の夢である。 ふと気が付けば私は独り登山に勤しんでおり、強烈な斜度の鎖場を、滑落の恐怖と闘いながらひいこら喘いで攻めていた。 やっとの思いでそこを越えると、千古斧鉞を加えざる老樹の緑のその中に、ひどく不似合いなものがある。 …

夢路紀行抄 ―浮気者―

夢を見た。 父親が死ぬ夢である。 風邪をこじらせぽっくり逝ってしまったと電話口で知らされて、慌てて帰省してみれば、なんたることか私を出迎えてくれたのは、馴染み深いキジトラ柄の愛猫ではなく、すわ狼かと見紛わんばかりの精悍な顔つきをした柴犬だっ…

夢路紀行抄 ―ドラッグストアのウィッチャーゲラルト―

夢を見た。『ウィッチャー3』の主人公、リヴィアのゲラルトが日本の市街でラグビー選手に化けていた吸血鬼と死闘を繰り広げる夢である。 やがて角を切り落とされた吸血鬼は――どういうわけかこの吸血鬼には額から、角が一本、それも瘤だらけで血管の浮き出た…

夢路紀行抄 ―心臓祭り―

夢を見た。 猟奇的な夢である。 夢のなか、中学生に戻った私は教師から、耳を疑う指令を受けた。なんでも新学期を始める前に心臓を取り換える必要があるから、これで適当に見繕って来いと言うのである。 教科書を買い揃えろとでも告げるに等しい、いともさり…

夢路紀行抄 ―強制労働―

夢を見た。 収容所にぶち込まれる夢である。 最初、私は船の甲板に立っていた。 今となっては映画の中か、どこぞのテーマパークにでも赴かねばまずお目にかかれぬ、古式ゆかしき三本マストの風帆船の甲板に、だ。 周囲は暗い。夜の海を、船は滑るように進む…

夢路紀行抄 ―三本立て―

夢を見た。 紫色の空の下、『星のカービィ』シリーズに登場する無敵の砲台――正しくはシャッツォとか云う名前らしい――からの集中砲火を浴びせられる夢である。 段差を利用したり、落とし穴に潜んだりしてなんとか命を繋いでいると、唐突に場面が切り替わる。…

夢路紀行抄 ―オカイコサマ―

夢を見た。 しゃくしゃくと、お蚕様が葉っぱを喰らう夢である。 夢の中で、私はバイクに乗っていた。現実には原チャリ以上の二輪車を運転したことなどないくせに、夢の私は器用な手つきでメタリックに黒光りするその車体を操って、やがてたどり着いたのは、…

夢路紀行抄 ―ドレミー・スイートへの陳情―

夢を見た。『東方Project』の登場人物――十六夜咲夜と氷精チルノが鬼の洗濯板みたく粗くて急な山肌を、自転車に乗ってどちらが先に麓まで駈け下りられるか競争している夢である。 むろん、勝負は咲夜のぶっちぎり。大人気ないくらい全力を出してペダルを漕い…

夢路紀行抄 ―水餃子と強い酒―

夢を見た。『カイジ』シリーズの登場人物、黒崎義裕――帝愛グループ№2のあの男と餃子を喰う夢である。 種類は典型的な水餃子で、皮越しにうっすら透けて見えるニラの青さがあざやかだった。 そしてその、餃子を口に運ぶ合間合間に黒崎義裕が語るのである。 内…