穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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夢路紀行抄 ―アポカリプスと乾電池―

 

 夢を見た。
 滅びた世界の夢である。
フォールアウト3に於けるキャピタル・ウエイストランドのような、文明の痕跡がそこかしこに点在する荒野を彷徨っていた私は、やがてマンション――いや、アレは団地と呼ぶべきか――を発見。何か役立つ遺物はないかと期待して、中へ入ることにした。

 

 

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 探索した部屋の番号は、はっきり覚えている、59号室だ。
 五階の九番目の部屋。だが、509、ではない。59号室。

 べつだんこの数字に思い入れなどない筈だが、何故こんなにも印象に残っているのか、謎である。


 まあいい。結論から言えば、いつ倒壊するか知れたものではない建物に、リスクを冒して入っただけの甲斐はあった。


 便所の壁の小棚の中に、包帯やら医薬品やらの物資がたんまり詰まっていたのである。


 何より私を喜ばせたのは、未使用の乾電池の存在だ。それもいちばん大きな単一の。
 包装のビニールもまだ破っていない状態で、これならば充分使用に堪えると口元を綻ばせずにはいられなかった。

 

 

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 収穫は充分、長居は無用。退き際を見誤って無駄に火傷を負うのもつまらんだろうと判断し、廊下に出、何の気なしに地上を見ると、豈図らんや、駐車場にて動くものがあるではないか。


 人影である。
 それも三つ。


 先頭に居立つのは、あの特徴的な人相、まさか見紛うはずもない。賭博破戒録カイジに登場する大槻班長その人だった。


 どういうわけか、私の夢には福本作品のキャラクターが登場する率が非常に高い。


 幸いにも、向こうはこちらの存在に、まだ気付いてないご様子だ。


 この有利を活用せねば嘘であろう。あの連中との鉢合わせは、絶対に面白からぬ結果を招く。正面は駄目だ、密かに別口から脱出せんと踵を返したところでアラームの音が鳴り響き、私の夢は破られた。


 ああいう世界観を舞台にした、所謂ポストアポカリプス系の作品は、私の大好物である。
 11月8日発売予定の『デス・ストランディングにも、むろんのこと期待している。特にあの作品は、世界崩壊の原因が核戦争でも隕石の衝突でもなく、もっと異質な何かのようで、その点甚だ魅力的だ。
 

 

 

 

 


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