2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧
ついに。 ついに、 ついに! ついに!! ついにこの日がやって来た。 令和四年二月二十五日、『エルデンリング』の発売日である。 本日ただいまより暫くの間、私は音信不通になるだろう。エルデの王となるために、持てる力のありったけを注ぎたいのだ。脇目…
初代韓国統監職を拝命し、渡航を間近に控えたある日。 伊藤博文はその邸宅に家門一同を呼び集め、ささやかながら内々の宴を催した。 祝福のため、壮行のため――そんな景気のいい性質ではない。 ――二度と再び現世で見(まみ)えることはなかろう。 だから最後…
起きてはならないことが起きてしまった。 死者の安息が破られたのだ。 墓荒らし――真っ当な神経の持ち主ならば誰もが顔をしかめるだろう、嫌悪すべきその所業。 それが明治十二年、京洛の地で起きてしまった。 場所も場所だが、「被害者」はもっと問題である…
――あのとき神風は吹いていたのだ。 そう叫ぶ者に出くわした。 むろん、現代(いま)を生きる誰かではない。古い古い紙の上で、だ。 昭和二年六月十五日発行、雑誌『太陽』増刊号で文学博士・村川堅固が力いっぱい吼えていたもの。 彼の主張するところ、その…
ルーベンス。 有名な名だ。 『フランダースの犬』――ネロとパトラッシュがその絵の下で現世におさらばしたことで、もはや名前ばかりが独り歩きしているような感すら抱く。 (Wikipediaより、ルーベンスの自画像) 彼の活躍は十七世紀。壮麗華美なるバロック絵…
かと思いきやまったく同時期、世間がなんと言おうとも、意固地なまでの一徹ぶりで新奇を拒絶し、旧習の中に根を張って不動の構えを示し続ける手合いもいるから面白い。 断固散髪を肯んぜず、ちょんまげを守り続けた漢たち。―― その筆頭は、なんといっても「…
大清帝国が黎明期、辮髪を恭順の証として総髪のままの漢人の首をぽんぽん落としていたように。 ピョートル大帝がひげに税を課してまで、この「野蛮時代の風習」を根絶しようとしたように。 あるいはいっそヒトラー式のちょび髭が、公衆に対する挑発として現…
こんなおとぎばなしが西洋にある。 どこぞの小さな国が舞台だ。王と王妃が登場するから、王制を採択していたのは疑いがない。夫婦仲は良好で、国民からも慕われていた。 が、なにもかも順風満帆であってくれては、それこそ物語として発展する余地がない。必…
イギリス人で時計と聞くと、私の脳にはどうしても、『ジョジョの奇妙な冒険』がまず真っ先に浮上する。 第一部「ファントムブラッド」の序盤も序盤、ジョナサン・ジョースターの懐中時計をディオが勝手に持ち出して、しかのみならずそのことを嫌味ったらしく…