穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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夢路紀行抄 ―焼け跡―

 

 よほど現状に不満があるのか、夢の私は学生時代に戻っている率が非常に高い。
 今日の夢もそうだった。といっても、正確には半々だが。


 修学旅行生として荷造りをし、バスに乗り込んだところまではよかったのだが、座った席はどういうわけだか運転席。子供のままの同級生の群れの中から私一人だけが現在の姿となって脱け出して、慣れた手つきでバスを転がし始めたのである。

 

 

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 高速を抜け、次第に車通りのほとんどない裏道に入り、最終的には粗大ゴミの散乱する到底道路と呼べない場所を、しかしながら自慢のハンドルさばきで造作もなく潜り抜け――現実の私は、S字クランクで絶望していた教習所の当時から大して進歩していないのだが――、目的地に辿り着く。


 ところが歴史博物館であったはずのその場所は、窓や玄関から外に向かって影の如く煤が延び、天井が落ちてしっちゃかめっちゃかになっている、有り体に言って焼け跡の廃墟以外のなにものでもなくなっていた。


 なおも内部に向って盛んに放水が行われていることから、つい今がした、おそらくはバスが高速を走っていた間ごろに出火したものと思われる。

 

 

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 どうすんだこれ、と途方に暮れたところで目が覚めた。


 私一人だけが現実の年齢に引き戻された事といい、苦労して辿り着いた目的地が台無しになっていた事といい、この夢、何らかの寓意を含んでいるとしか思えない。
 さっぱり見当がつかないが、いつか頓悟する日が来るのだろうか。

 

 

バックドラフト (吹替版)

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