穢銀杏狐月

穢銀杏狐月

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

夢路紀行抄 ―ドレミー・スイートへの陳情―

 

 夢を見た。
東方Project』の登場人物――十六夜咲夜と氷精チルノが鬼の洗濯板みたく粗くて急な山肌を、自転車に乗ってどちらが先に麓まで駈け下りられるか競争している夢である。


 むろん、勝負は咲夜のぶっちぎり。大人気ないくらい全力を出してペダルを漕いで、チルノを遥か後方に置き捨てていた。頭文字D風に言うならば、「バックミラーから消された」チルノがゴール地点で地団太を踏んだのもむべなるかな。その激情に、咲夜は勝者の余裕たっぷりなすまし顔で報いていた。
 秀麗な横顔には、汗の一滴も浮かんでいない。

 


 にしても、何故あの二人だったのだろう?

 


 幻想郷の住人が夢に出て来るのはこれが初めての経験ではない。両手の指では数えきれないほどにある。なにしろ中学生の時分からの付き合いだ。最初に手にしたシリーズは『永夜抄』で、縦シューティングはゲームボーイの『ソーラーストライカー』以来だったものだから、ひどくまごついた覚えがある。


 高校生の頃は専ら東方の原曲をBGMに勉強したし、現在に至るもそのあたりの事情は大して変化していない。このブログを書くのに使っているBGMも、やはり上海アリス幻樂団の楽曲なのだ。


 そうした関係の深さから、彼女達が私の夢に登場するのはさして不思議な話ではない。
 問題は、何故に十六夜咲夜とチルノだったかということだ。


 特にチルノ。殊更気に入っているわけでもないのに、この氷精が私の夢に登場する頻度の高さはどうにもこうにも解し難い。何年か前、軽トラで母校の体育館に突っ込む夢を見た時にも、逃げ惑う子供たちの中に何故か彼女と彼女の友人たる大妖精が混じっていた。


 私が真に心を寄せる豊聡耳神子様は、何故か我が夢に一度もおいでになられたことがないというのに、この偏りはどうしたわけか。


 このあたり、レミー・スイートに問えるものなら問うてみたい。夢を喰い、夢を創る程度の能力を有するあの獏に。ああ、夢の支配者よ、なろうことならもうちょっと、融通を効かせてはくれまいか。

 

 

東方神霊廟 ?Ten Desires.

東方神霊廟 ?Ten Desires.

 

 

 

 


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