2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧
大正時代の日本に、「餅缶」なる奇妙な商品を確認できる。 餅の缶詰、その名の通りな代物だ。 ジャーナリストの加藤朝鳥が大正十年、コレを用いて、遥か南洋、ジャワ島で、日本式の正月料理を楽しんだ。「元旦の朝は缶詰を開いて正月らしいものを卓の上に並…
大連、鉄嶺、瓦房店、大石橋、遼陽、奉天、昌図、公主嶺、長春、安東縣、鶏冠山、橋頭。 大正四年、日本人の経営に依る南満州鉄道で駅弁を売っていた駅は、なんとたったの十二ヶ所。上に列(なら)べた十二の駅で、金輪際全部であった。 (あゝ満鉄) 何故そ…
「死が全てを解決する。人間が存在しなければ、問題も存在しないのだ」 「私の理想社会は何よりも人間の多過ぎないことです。劣悪な人間がいき苦しいほど詰込まれてゐる大都市などは造らないことです」 前者がヨシフ・スターリン、後者が平塚らいてう女史の…
「第三共和国政治は即ちうそつき政治。剣を抜き放ったのは殆ど戦備のないフランスであった。新国家が遺産相続した防空壕はペンペン草の生えるに任せ、一対十か、一対二十か、あまりにかけはなれた仏独空軍の比率を語り顔である」 死者に鞭打つ発言だった。 …
1940年、腐ったドアを蹴飛ばすような容易さで、フランス第三共和政は鉤十字の軍勢に圧倒、崩壊、陥落し、城下の盟を結ばされた次第であるが。かかる無様を招き寄せた一因に、先んじて展開されていたポーランド戦線の戦訓を何一つとして有効活用できなかった…
君主制なき合衆国にて鉄道王こそ実質的な専制君主、彼らの威光を前にしたらば例え各州知事であろうと即座に米搗きバッタと化して膝を折らずにいられない、圧倒的な優者であったということは、『アメリカン・コモンウェルス』を通してとっくに既知の情報だ。 …
「各々やるべきことをやれ、責任はすべて俺がとる」 なんとも格好いいセリフ、男らしいことこの上もない、生涯一度は言いたいセリフ。 だがしかし、当たり前だが夢想を現実に移すとなると、利害得失諸々の、夢も希望もありゃしない、ただひたすらに塩辛い、…
馬の背からトラックへ。 動物力から機械力の全面的な活用へ。 第一次世界大戦を機に列強諸国の軍隊は、この転換の必要性を厭というほど思い知り、目的達成の為の努力を死に物狂いで開始した。 (ドイツの軍馬) 輜重部隊も、むろん例外たりえない。 星条旗の…
愛し合ってる男女があった。 だがしかし、家の都合に世間のしがらみ云々と、七面倒な事情によって仲を裂かれる憂き目にあった。 今生での「添い遂げ」はもはや到底不可能と、愛しい彼との結婚が全き絶望に帰したと悟り、女は人生自体を悲観。極(・)から極…
警視庁の記録によれば、昭和二年度、東京都内で捕まえられた野犬の数は三万四千六百十頭であるという。 全国ではない、東京一都。 警視庁の管轄内に限定してすら、かかる始末であったのだ。 蓋し瞠目に値する。なんたる夥しさだろう。野犬に噛まれて怪我をし…
昭和の初頭(あたま)ごろである。 日本人の体質改善策として、もっと砂糖を摂るべしと、おかしな事を主張しだした奴がいた。 (Wikipediaより、様々な種類の砂糖) 砂糖を摂って、エネルギーを補給して、脳と筋肉、双方の力を養って、もっとしっかり文明人…
福澤さんちの桃介くんがおよそ三十年ぶりにニューヨークの地を踏んだ。 かつては留学生として、そして今度は電力会社の長として。 学業からビジネスへ、装い、目的、一切を蓋し華麗に改めて、威風堂々、乗り込んだ。 (Wikipediaより、若き日の福澤桃介) 摩…