2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧
「鳩山サンは冷血だ。とかく義理ってもんを欠く」 とは、彼の農地の小作らが、常々こぼした愚痴である。 この場合の鳩山は、憲政史上の恥さらし、生きた日本の汚点そのもの、ルーピー由紀夫にあらざれば、友達の友達がアルカイダのメンバーだった、逝いて久…
また福澤が預言的な内容を『時事新報』に書いていた。 「田畑山林を人に貸すは、富人にありながら貧民を相手にして、貧乏人の銭を集めて富豪の庫に納る仕事にして、然かも貧富直接の関係なるが故に、人情として貧人の無理を許さゞるを得ず、之を許さゞれば怨…
一種の「リトマス試験紙」だ。 明治の書物を手に取る場合、著者が旧幕体制を、ひいては徳川家康を、どのように評価していたかにより買うか否かを決めている。後ろ足で砂をかける無礼を犯しちゃいまいな? と、立ち読みしながら常に気を遣うポイントである。 …
一網に百萬燈や蛍いか 富山に伝わる歌である。 詠み手は知らない。 名も無き地元の民草か、いつかの旅の数奇者か。 はっきりと断言できるのは、ご当地名物、ホタルイカ漁を題材にした代物であるということだ。 (Wikipediaより、ホタルイカの辛子酢味噌和え…
日露の仲が急速に殺気を孕みはじめた時分――。 二葉亭四迷は誰に頼まれたわけでもなしに、全然己一個の意志で単身シベリアへと渡り、彼の地に俄然集結中の帝政ロシアの軍の規模、兵装の質、統制如何、士気の充実はどうだのと、彼らについてのありとあらゆる情…
前回の補遺として添えておく。 かねてより報されていた通り、昭和六年九月十六日京都西本願寺にて得度式が行われ、真宗史上初となる女僧侶の集団がめでたく地上に現出(あらわ)れた。 (西本願寺) とち狂った男性優越原理主義者が金切り声を上げながらポン…
例の「真宗に山寺なし」も然りだが――。 仏門諸流多しといえど、どうも福澤先生は、浄土真宗を買っている。その傾向が大である。 「真宗は由来久しくして、国民の信心最も深く、且その宗義も能く民情に適したるや、凡そ日本国中に於て宗門の勢は真宗の右に出…
篤農家という単語自体が死語となりつつある現下、藤田市五郎の姓名を記憶している日本人が果たしてどれほどあるだろう。 北海道の農業を開拓したひとりだが、屯田兵ではないようだ。 それよりもずっと根が深い。 淵源は実に十八世紀、寛政元年時点にまで遡り…
筆者(わたし)の中でハーディングが、今、熱い。 左様、ウォレン・ハーディング。 第二十九代アメリカ合衆国大統領。 共和党所属。 魅力的な人物だ。 (Wikipediaより、ハーディング) 彼の演説、あるいは談話を発掘すればするほどに、否が応にも興奮募り、…
集計が出た。 しめて一万二千四百十三件。この数字こそ1930年、元号にして昭和五年を通じての、九州火の国熊本一県下に於いて成立したる婚姻数に他ならぬ。 「減ったなァ」「ああ、去年と比較(くら)べて四百ばかりの減少だ」「不景気に歯止めがかからぬ以…
維新以後、大和島根に文明国家を建てるため、大日本帝国はドイツを大いに範とした。 なかんずく、医療と軍事の両面で、その傾向が顕著であった。 田代義徳、佐藤三吉、入沢達吉、長井長吉、金杉英五郎、朝倉文三、鶴見三三、大沢岳太郎、そしてもちろん北里…
唐土に飢餓は稀有でない。 ぜんぜんまったくこれっぽっちも珍しからぬ現象だ。 定期的に発生(おこ)っては山の様な餓死体と流民の群れを作り出し、王朝の足下をグラつかせ、野心家に垂涎の機会を恵む。恒例行事の一環と看做すも可ではあるのだが、しかし192…
高須梅渓は繰り返し、健康の重要性を説く。 強靭な肉体の中でこそ、雄渾な思想が練り上げられると、そう信じていたようだった。 (大日本帝国海軍、甲板上の相撲) あるいは斯かる傾向は、「人間五十年」という決まり文句すら満たせずに中途死なざるを得なか…
吉江喬松(たかまつ)。 早稲田大学に教鞭を執る仁である。 留学から帰ったばかりのこの人が、面白いことを言っていた。大正九年の秋に於いての御講義だ。 (Wikipediaより、昭和初頭の早稲田大学) テーマはズバリ、「フランスの人口政策について」。 その…
大正三年十一月十六日に認可の下りた特許二六八四九號、『四季常用魚類乾燥装置』の明細書を紐解くと、一目で面白い事実に気付く。 発明者の名が、日本人のそれ(・・)でない。 ゲオルギー・イワノヴィッチ・ソコロフ。 帝政ロシアの民である。 (樺太にて…