穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

野心の炎に焼け爛れ

人は米寿を超えてなお、――老いさらばえて皮膚は枯れ、頭に霜を戴くどころか不毛の曠野を晒す破目になってなお、野心に狂えるものなのか? むろん、是である。 是であることが証明された。姓は中本、名は栄作。数えで九十一歳になる、大じじいの手によって――…

死んでも売らぬ

商用で、あるいは研修で。 理由は個々でまちまちだ。が、とまれかくまれ、第一次世界大戦勃発の秋(とき)、国外に身を置いていた日本人は数多い。 早稲田大学に至っては、危うくその学長を異郷に失うところであった。 高田早苗を言っている。大正三年四月か…

派手に狂った方が勝つ

密告社会の基本はつまり「闇から闇へ」だ。良き釣り人ほど気配を殺すのが上手く、必要以上に水面を揺らさず、鼓動さえも慎んで、獲物(サカナ)を欺き、正体を悟らしめぬ如く。 大衆という、ニトロ以上に爆発しやすい液体に波紋を生じさせぬまま、「問題」だ…

夢路紀行抄 ―冷蔵庫と氷壁と―

夢を見た。 とっちらかった夢である。 思い起こせる限りに於いて、始まりはそう、冷蔵庫を診察しているところから。私は耳に聴診器を装備して、あの先端の丸くなってる例の部分を冷蔵庫の扉へと、細心の注意を払いながら押し当てて、微かな異音も聞き逃すま…

In The Myth,God Is Force.

セオドア・ルーズヴェルトは快男児である。 グレート・ホワイト・フリートに、ひいては棍棒外交に象徴されるが如きまま、その政治上の遣り口は徹頭徹尾「力の信徒」そのものだ。本人もそれを自覚して、理解(わか)った上で金輪際隠さない。むしろ全身で誇示…

潮のまにまに

活動弁士は日本のオリジナルである。 (Wikipediaより、長谷川利行『二人の活弁の男』) トーキーが世に出るより以前、映画といえば声無しに定(き)まっていた黎明期。銀幕に映る情景がいったい何を意味するか、舞台袖に陣取って、一生懸命解説するを事とす…

そして亡国へ

目を疑うとはこのことか。 どうしてこんな光景が成立するのか理解できない。 いわゆる人民戦線がフランスの牛耳をとっちまって(・・・・・・)いた時分。我が世の春を謳歌しまくるアカどもはパリの街路を勝手に占拠、検問を据え、通りすがりの市民から「カ…