2025-07-01から1ヶ月間の記事一覧
アメリカ最大の図書館はワシントンDCに見出せる。 言わずと知れた米国議会図書館だ。 アメリカ最大ということは、とりもなおさず世界最大ということだ。 (Wikipediaより、ワシントンDC) 昭和の黎明、帝国図書館館長である松本喜一がここを訪問した当時、日…
ちょっと人力車めいている。 自転車タクシーとかいった風変わりな代物が第二次世界大戦下、ヴィシー政府のフランスの地に現出(あらわ)れた。 まあ、八割方、名から察しはつくであろうが、自転車に少々手を加え、後から荷車を連結せしめ、一人か二人、客を…
「ふと手にした俳書の或ページに『花袋』といふ結句があったのを苗字とうつりがいゝのでそのまゝ使って居る、『都の花』国民新聞の発刊当時のことだった、後になってわかったことだが、花袋といふのは女の匂ひ袋のことださうだ、二十歳前に漢詩に凝った頃に…
もしも汚穢史、便所の歴史、トイレット・ヒストリーなんてモノがあるならば、以下の如きはその点景の一として収録されるべきだろう。 「一昨年府下の或る商人が、我日本の駿河半紙を二ツ切にして五百枚を一包に拵へ、十二包入を一ダースと為し、雪隠紙なりと…
重度の不眠に憑かれた者は、だんだん妙な心理状態に移行する。 己が起きて、眼を覚ましていること自体に、言い知れぬ不安を持つのだそうな。 「漠然とした」と述べておくより他にない、それは一種、異様な心地。筆にも口にも表し難い、ペン先だろうと舌先だ…
普仏戦争の敗北は、フランス人の精神に重大なる影を落とした。 首都を囲まれ、干しあげられて、動物園の獣を喰って、なお足らず、犬猫ネズミをソテーにしてまで継続した抵抗は、結局何も実を結ばずに、彼らはプロシャの軍靴の前に膝を屈する恥辱に遭った。 …
優生学の心酔者にして熱烈な産児制限論者。 「ハトイチ」こと鳩山一郎なる人物を把握するに際しては、見逃し得ないファクターである。 「貧乏人の子だくさん」は不幸の元ゆえ、抑止せよ。結核病やらい(・・)病患者の人権は、ある程度無視して構うまい。健…
航行中の軍艦で、甲板はまま(・・)運動場の用を成す。 帝国の海の防人たちは、あの場を使って相撲も取れば、 弓も射ったし、 剣道もした、 サメを用いた日本刀の「生き試し」なぞも偶にした。 そのようにして日々の無聊を慰めて、且つ筋骨を錬磨した。 従…
夕立の季節が近づいている。 否、既に、とっくに突入済みであろうか。 夏の風物詩のひとつ、天に轟き地を震わせる、あの雷鳴と云うやつを、恐れる者は数多い。 著名な文士、画家、詩人──俗にいわゆる「文化人」の範囲内にもそうした手合いは割と居る。 宇野…
タウンゼント・ハリスの名前は果たして歴史教科書に掲載されていたろうか? 筆者の記憶は、この点ひどく曖昧である。個人的には記載されるに値する名前であると信ずるが、さて。 (Wikipediaより、タウンゼント・ハリス) ぜんたいハリスとは何者か。 試験で…
空中戦艦。 なんとロマンに満ちた響きか。 一九〇三年、ライト兄弟が初めて空を飛んだとき、その発動機のスペックはものの十二馬力を出なかった。 ところがそれからたった十年、欧州大戦の初頭には、はや百馬力が出現し、更に十年を俟ってみたならどうだろう…
ちょっと意外な感覚だ。 柴五郎におよそこの種の政治色は存在しないと勝手に思い込んでいた。 (Wikipediaより、柴五郎) 会津藩士の生き残り、『ある明治人の記録』にて世上に名高いこの人は、実に大正十三年春、とある右傾団体の発足に手を貸している。 手…
怪文書が出廻った。 標的は、日本全土の富豪たち。 「今なら二百円ポッキリで貴方に未来の情報をこっそりお伝え致します」と、──つまり予言の押し売りを試みた馬鹿があったのだ。 以下が即ち、問題の文書、その中身。 「十二月十一日までに金二百円以上送金…
そのころ神田の一角に、『エロス堂』なる本屋があった。 あまりに直截な屋号を前に、なにごとかを期待した若い男性客どもがちょくちょく迷い込んだとか。 そして彼らの九分九厘までが、ほどなく苦い失望に渋面を作らされている。 陳列済みの書籍はどれも至っ…
「農に生まれて農に生き、土に親しみ土に死す」。 日本農民組合が成立間もなき草創期、標語(スローガン)として高く掲げた文言だ。 短く、そして頸烈な、意とするところを見る者に誤解の余地なく叩き込む、名文句だと心底思う。 しかし同時に、以下の思いも…