これも体質の一種だろうか。
通常の椎茸アレルギーとはだいぶ趣が異なるが。
発疹もミミズ腫れも起こらない。だがしかし、
美川きよなる女流作家は、そういう身体に天性出来ていたらしい。
なんと驚くべきことに、この椎茸とか云う菌類は、彼女の夢見に対しても影響力を発揮した。
もちろん悪影響である。
つまり悪夢に襲われた。
以下、彼女自身の著述から当該箇所を抜粋すると、
「椎茸を食べた晩に、変な夢を見たことがある。ふと自分の手首を見ると皮膚が松ぼっくりのやうな皮膚になってゐるのだ。しかも、魚のうろこのやうな下に粒々の実を一つづゝ抱いてゐる。魚のうろこならまだ光りがあるが、茶色のカサカサに枯れた松ぼっくりのやうなザラザラした気味の悪い毛穴が私の肉体を埋めてゐたのである……」
いやはやなんとも気色悪いったらないだろう。
読んでるだけで汗疱が再発しそうな文章である。

皮膚の異常は、とにかくきつい。幼き日、映画『マタンゴ』に植え付けられた恐怖の記憶、キノコ人間のトラウマが色鮮やかに甦る。
せっかく記憶の彼方へと、忘却の淵へと落とし込めていたというのに、なんたることだ。これほどまでのダメージを読書を通して受けたのは、ずいぶん久方振りだった。
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