穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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古き文士の女性観 ―この窮屈な現世こそ―

 

 生方敏郎


 竹久夢二


 徳冨蘆花


 小酒井不木――。


 文芸史上に光彩陸離たるこの人々も、しかし時折女性に対してひどく辛辣なことを言う。


 お前ら女関係で、何かコッピドイ目に遭ったのかと勘繰らずには居られぬほどに。


 生田春月はそれが、それのみが男の偉くなる道なりと明朗に歌い上げたものであったが――今回はまあ、さて措いて。


 フェミだのポリコレだの何だのと、わけのわからない連中の専横により、悪口どころか性別に関するありとあらゆる表現が窮屈になってきている現今。些か以上に病的な、こういう時勢だからこそ、古人の激語を過去の暗がりから引っ張り出して陳列するのも、きっと大きな意味を持つ。

 

 

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 極端に対して別の極端を叩きつけることにより、うまいこと中庸にもって行く――所謂「爆発で火事を消す」とか「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」式の手法を実験してみたいのだ。

 

 前置きが長くなった。そろそろ本題に入るとしよう。


 では、しばしお付き合い願いたい。

 

 


・平生は散々に迷惑を懸けても平気でゐる癖に、責任を負はなくてもいい、こんな場合に限って自責の念に苦しんでゐる。これが女だ。


・男は恋をする時、唯其心を告白しやうとばかり焦慮して何事も為し得ない。女は恋をする時、其れを口に言ふまいとして何事でもする。


・女は皆女優である。男は唯その美しさに見とれてゐればいい。楽屋を覗くものは馬鹿だ。楽屋を人に見せるものは悪魔だ。


・一口に女といってもいろいろ有る。オンナもあればカンナもある。カンナ屑もある。
 欲の皮ばかり突っぱって色気も水気もなくなってる婆あなぞは、オンナの部類には入れられない。カンナ屑である。


・結婚は決して恋愛の延長ではない。結婚はナポレオンの云った通り、恋愛の墳墓だ。決して恋愛の延長ではない。けれ共恋愛するのも男女二人の事であるし、結婚するのも矢張り、男女二人の間のことであるから、人はしばしばそれを混同して、甚だしきは結婚は必ず恋愛に依るべしと、恋愛結婚でなければならぬ様なことを云ふ。西洋にも日本にもそんなことを云ってゐる人があるやうだが、それは頭の良くない人の考へだ。

 

 

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長谷川哲也著『ナポレオン~覇道進撃~』 1巻より)

 


 この生方にかかっては、森喜朗も三舎を避けるに違いない。

 

 


・「あなたの眼は美しい。まるで馬のやうだ」とほめたら、その女は怒りだした。一体馬の眼はそんなに美しくないだらうか。


・嬰児はまず乳房に吸ひつく。それから、はじめて母親の顔を見る。


・自分がいかにエライかを見せるよりも、いかに自分も、彼女のごとく馬鹿だかを示す方が早道だ。


・妻は手で選ぶものだ。伯楽が馬を買ふ時のやうに。

 

 


・女が偉くなると、独身者が沢山出来て来る。だから社会の原則は、独身ものが出来ない程度内に於て、女が偉くならなくちゃ駄目だ。


・婦人に対しては、言はざるをよしとす。已むを得ず言ふ時はなる可く簡勁にして言ふべし。肩を怒らし肱を張るべし。軽蔑の意を明白に発表すべし。

 

 

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竹久夢二 「青い木の実」)

 

 


・女の感情生活はマドンナと遊女の間を振子の如く往き来する。


・女が秘密をばらし易いといふのは、カントの説破したやうに、自己の秘密ではなく、他人の秘密をばらし易いことをさすのである。


・すべて女性の犯罪は複雑なることをその特徴としてゐるが、而もその複雑さ加減は単に複雑であるといふだけで、深淵な計画によって複雑を極めてゐるといふのではない。ことに女性は甚だ口やかましいものであるから、事を複雑ならしめるには頗る都合よく出来てゐるのである。

 

 

山崎露川


・女が新しくなるに従ひ、従順おとなしく十ヶ月も腹を膨らまして辛抱してる様なのがズッと減るだらう。


・男は美の外、女に恐るる何物をも見出せない。


・僕が此世で一番可愛いのは僕だ。そは僕と生死を共にして呉れるものは、世界に僕があるばかりで、女房の様に僕の死後に再婚する様な心配がないからだ。僕が悪いことをすれば隠してくれ、善いことをすれば吹聴してくれるのは、生まれて今日まで僕程忠実だったものはない。

 

 


・どんな正当な理由があっても妻を怒らしたら夫は負けだな。直ぐ糧道を断たれるからな。

 

 

 

 

 


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