ヴォルテールとピロンの二人が或貴族の別邸に招かれて逗留中、
ピロンはこの振舞を快からず思ひ、ヴォルテールの部屋へ行って、戸の
「どういふ風の吹き廻しで君は此処へ来たのかね」
ヴォルテール「今僕の部屋へ戻ったら、君の名刺が戸に貼ってあったので、早速答禮に来たのさ」
デュラー公、哲学者デカルトが
「いやあ、哲学者たちでもさういふ美食をするのか」
と云ふと、デカルト
「閣下は自然は唯莫迦者の為にばかりあらゆる良い物を作ったとお考へなさいますか」
ルイ十四世、自作の詩二三首をボアローに見せて、批評を求められた。其時ボアローの答
「陛下は何一つお出来にならぬ事は御座りません。
付記・ボアローは17世紀フランスの古典派詩人。辛辣な批評家でもあり、如何なる権威にも臆することなく噛み付いたと云う。
ドイツの音楽家ヘンデルが住居をロンドンに定めてから四五年の間は財政上非常の難儀を見た。彼が歌劇は一向世間に受けられず、劇場はいつも空席ばかりであった。余りの事に一座の者どもが愁訴すると、彼は次の様に答へて慰めた。
「
フランスの一官吏がウィーンの宮廷に到着した日に、オーストリアの女皇が引見して、かねがね評判の高い仏国の某内親王は真に大陸一の美人であるかと訊ねられた。仏国人、
「今日までは小官も左様に信じて居りました」
ナポレオン三世の朝廷で、或女官がシャムの公使を掴まへて、同国に一夫多妻の風習のあることを非難した。公使答へて曰く、
「若しシャムに貴女の様な美人が有りさへすれば、我々は唯一人の妻で満足します」
仏国の紳士、
紳士大得意になって、
「何と云ふ幸運だらう。拙者は此通り英才と美形の間に
と云ふと、英才に
「
付記・私の場合スタール夫人と聞くと、どうしても長谷川哲也氏の漫画版『ナポレオン』に於ける彼女の像が浮かんできて振り払えない。漫画の力はつくづく偉大だ。
あの2.5頭身なら確かにこの程度の皮肉、シャアシャアと飛ばすに違いない。
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