穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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暑気払いの私的撰集


 詩歌の蓄積が相当量に及びつつある。


 ここらでまとめて放出したいが、なにぶん折からの猛暑であろう、見事に脳が茹だりはじめた。


 頭蓋の中で創意が融ける音がする。


 お蔭でロクな前口上も浮かばない。エエイまだるっこしい、こんなところで何時までも足止め喰らっていられるか、さっさとおっぱじめちまおう。

 


忍ぶ此の身の手拭とりて、
月に着せたや頬冠り

 


 まずはこれ、高杉晋作の都々逸である。

 

 

 


 逃亡生活中にでも詠んだのだろうか? 作者が作者であるだけに、背後を探ってみたくなる。

 


井戸のかはづとそしらばそしれ、
花も散り込む月もさす

 


 頼山陽のこの句には、

 


井の中も 住めば蛙の 都哉

 


 誰の作ともわからない俳句一首を添えておく。

 

 

 


他人恐ろし闇夜は怖い、
親と月夜はいつも好い

 


 わけのわからぬ動機の凶行、理屈に合わぬ微罪処分が相次ぐ昨今、なかなか他人事でない。

 


世間渡らば豆腐の様に、
豆で四角で柔らかに

 


 それが叶えば結構至極なことだろう。が、

 


招く蛍は手元へ寄らず、
払ふ蚊が来て身を責める

 


 世の中そうそう注文通りに運ばぬものだ。

 


どうにもならぬと知ってる無理が、
どうにかしたいとあせる愚痴


男一貫胸一杯に、
有っても泪は見せぬ意地


さびしからうが山ほとゝぎす、
泣くな月夜に雲が出る

 


 苦の味の滲みたものとして、上の如きは気に入っている。


 所詮浮世は痩せ我慢の連続と、そう思わせてくれるから。

 

 

Cuculus poliocephalus

Wikipediaより、ホトトギス

 


金に飽かせて迎へた妻に、
金を生むよなためしゃない


小指切るとは当座のことよ、
金が無くなりゃ手迄切る

 


俚諺は大衆の承認を得た国民的体験である」とは、さる英国紳士の言葉であった。


 銭の切れ目が縁の切れ目。つまりはそれだけ実際に切られた奴が居たわけだ。


 色香に迷った挙句の果ては、身代限りと相場が決まっているだろう。

 


美しい 貧乏神に 気がつかず


酒酌んで 三味線ひいて 気を奪ひ

人を取り食ふ 鬼の多さよ


蟲も殺さぬ笑顔の中に、
鬼も大蛇も棲むさうな

 


 ここぞという時、悪魔はみな優しいのだ。

 

 

(『サイバーパンク2077』より)

 


正月を 馬鹿で暮して 二月哉


生者必滅これ見て知れと、
教へ顔なる雪達磨


油断する間に頭は禿げる、
頭光って身は錆びる


お正月とて油断はおよし、
又も来るぞえ大晦日

 


 うわあああああああああ!


 信じられない、信じたくない、冗談だろう夢であれ、2023年が、もはやとっくに半分以上終わったなどと――。

 

 

 


 光陰矢の如し、時の流れが早すぎる。


 暑さに挫けて気を抜いている場合ではない。二度と還らぬ今日この日、一分一秒、有効活用しなければ。

 

 

 

 

 


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