先日紹介させてもらった『酒のみとタバコ党のバイブル』は、繰り言になるが月刊雑誌の亜種である。
雑誌なだけに、広告がふんだんに載せられている。
扱っているテーマがテーマだからであろうか。胃の薬だの保険だの、健康絡みの商品がとかく目につく印象だ。
中にはこんなあやしげなモノまで存在している。
「緑の血」、アメリカで話題の葉緑素、グリンポール注うんぬん。ざっと字面を追う限り、どうも葉緑素の皮下注射を奨めるものであるらしい。
効果の方を覗いてみると、
胃潰瘍・腸潰瘍・貧血・動脈硬化・高血圧・過労・食欲減退・不眠症・結核をも治癒せしめ、
顔面からはニキビやソバカス、小皺が消えてつるっつるのたまご肌が出来上がり、
老化の所為で減退気味の精力さえも甦るという、
エリクサーすら思わず一歩を譲りかねない絢爛たる謳い文句で満ちている。
貴重なカラー刷りのスペースを贅沢に使っているあたり、結構な数の愛用者が居たのだろうか。
まあ、ヒロポンといって覚醒剤が注射器ごと売られていたご時勢だ。
体に針を突き立てることへの精神的抵抗も、遥かに低かったのだろう。
ウィルキンソンの炭酸水をみつけた時は、流石にちょっと驚いた。この段階――昭和二十六年――から既に定番だったのか。
定番といえば、日清サラダ油の姿も見える。
容器が瓶だ。
プラスチック台頭以前なのだから自明の理であるものの、なにやら妙に時代を感じて趣深い。
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