穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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あんころ餅と獣血と


 佐伯ただすが栄養研究所の所長時代に新案したレシピには、「牛の血入りのあんころ餅」などという、キワモノめいた一品までもが含まれる。

 

 

Bust of Saiki Tadasu

Wikipediaより、佐伯矩 胸像)

 


 ああ、いや、待った、この言い方は相応しくない。仮初にであろうとも、キワモノ扱いしてしまっては製作者に失礼だ。


 少なくとも佐伯矩医学博士ご本人にしてみれば、奇をてらった心算なぞはまるでなく。彼は至って生真面目に、獣の血が持つ滋養の高さを分析して評価して、これから先々、日本人の健康増進を図るに際し願ってもない良材なりと判断し、心理的な抵抗なしに庶民らがこれを摂れるよう、文字通り心血を注いだ挙句に編み出した、珠玉のレシピなのだから。

 


「牛の血液は10%が蛋白質で鉄を含み血の色を増すのに効力があります、其外脳や神経によい燐や、子供を大きくするのに非常に効能のあるレチチンといふ大切な成分も含んで居ります、其上消化も良好で甚だ結構なものです。だから血液を食用するといふことは非常に大切なことで、ドイツでは高い食品が得られない者は皆此血液を腸詰にして食べて居ります。…(中略)…餡転餅あんころもちは蜀黍の粉と牛の血液を等分に交ぜて拵へたものです。蜀黍で拵へた餅は色が血液の色に近いので、血の色が誤魔化せます、其上又同じ色合の餡でうたので凡て不快の色が除かれ、美味しく食べられる訳です

 

 

 


 鳩の生き血を主材に据えたデザートなんぞが顔を出す、異色の料理バトル漫画がアニメ化決定された昨今。


 似たような試みを、しかもリアルで行っていた先人の姿を紹介するのも、まんざら無為ではないだろう。

 

 

 

 

 


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