東北地方に降る雪をライブカメラの映像越しに漫然と鑑賞中のこと、インターネットの恩恵をしみじみ感じていた最中。
ふと思い出した歌がある。
季節はちょうど今ぐらい。時間はざっと、遡ること百年以上。十和田の秘湯・蔦温泉を背景に、杉浦重剛門下の文士、猪狩史山が即興で吟じあげたる、ある歌を──。
蔦温泉には先んじて大町桂月が逗留し、疲労を湯舟に溶かしつつ、雪見酒と洒落込む日々を送っていたそうである。
それを訪ねていったのだ。
猪狩と大町の付き合いは長い。互いに同じ杉浦重剛門下生、性格的な相性もまた良好で、親友と認める間柄。「朋あり遠方より来たる」をやりに行った格好である。
嶮路踏み越えやがて至った彼の地にて、両者はつつがなく対面している。そう、「ドテラにネンネコを着て頭巾をかぶり、長靴をはきて、雪中に立ちたる」大町桂月の有り様を、猪狩史山は目の当たりにした
(同上)
東北の山野ならではの、帝都及びその周辺たる関東圏ではまず以って、する必要なき重装備。
その風体に、その
泰山にのぼらばかゝる道士あらん
雪に立ちたる大町桂月
つまりは若干字余りの、この句であったという始末。

(『ジェダイ:フォールン・オーダー』より)
猪狩もやはり、御多分に漏れなかったようである。
あるいはそういう気風を作った、最初の一人だったのか……。
埒もない妄想に浸りつつ、冷えた指先をこすり合わせる、そんな真冬の夜だった。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
この記事がお気に召しましたなら、どうか応援クリックを。
↓ ↓ ↓
![]()
