穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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今年の干支にかこつけて ─名伯楽を生んだもの─

 

 北海道は名馬の産地。


 わけても日高は指折りである。


 新冠御料牧場開設以来、重ねた努力と実績が、「日高駒」の名声をとどのつまりは全国レベルに押し上げた。

 

 

 


 ──あのあたりの住民は、誰も彼もが馬と多少の関係性を持ちながら日々の暮らしを営んでいる。


 かつて、しみじみと説いたのは、騎手ジョッキー あがりの調教師、小川佐助なる男。


 明治三十八年に浦河町西舎村にて産湯をつかった、言うところの道産子である。


 御多分に漏れず、小川の家にも厩舎があって、佐助が物心ついたときには四頭からを飼育している状態だった。「まったく馬のなかで育ったようなもので、小学校高学年には、村のお祭り競馬の騎手になっていた」ほど、この生き物に親しみ成長したそうな。


 後年、小川佐助の姓名は天下の名伯楽として宇内に響き、関西調教師会会長の栄辱をかたじけなくもするのだが。──そのことと如上の風景は、おそらく無関係でない。


 明らかに強固な繋がりがある。「環境が人をつくる」事例の、格好の見本たるだろう。


 狼の脅威を退けて、新冠御料牧場を守護まも発展そだてた先人たちには、感謝と敬意あるべきだ。もしも彼らなかりせば、果たして小川佐助とて、あれほどの働きが出来たか、どうか。

 

 

 


 ごくごく長閑な「当たり前の風景」も、ひとたび裏に廻ってみれば名もなき「誰か」の血と汗と涙の労苦の結晶が支えになっていたりする。そうしたものを、今年もなるたけ数多く掬い上げてゆきたく思う。

 

 

 

 

 


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