穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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大隈侯と雪ダルマ


 まず、原案を自分一手で創り出す。


 その次に、主題に据えた分野に於ける専門家らを呼び寄せて、用意の「案」を説き聞かせ、それに対する批評を願う。


「腹蔵なく意見を吐け」と言ってあるから、当然はなしは熱を帯び、火花を散らし時として口角泡を飛ばしながらの激論に及ぶも珍しくない。

 

 

(viprpg『ライチと聖剣ちゃん』より)

 


 納得がいくまで、とことん話す。


 恰も日本刀の製錬過程の、「折り返し」にも似たような──。いっそ病的といっていいほど執拗に検討を繰り返させることにより、意見の精度を上げてゆく。


 甲斐あって、圭角だらけの原案は、やがて珠玉の相を帯び。いざ講演台に立つ刹那、発表の段に至っては、聴くものすべてを陶酔悦服せしめる如き、大雄弁と化している。


 これこそ大隈重信の、在りし日の雄弁術だった。

 

 

早稲田大学

 


 原稿こそ書かなかったが、彼はおよそ演説を、ぶっつけ本番でやるタイプではなかったらしい。「それは聴衆に失礼である」との謎の礼儀正しさのもと、常に周到に準備した。


 かかる作業に頻繁に付き合わされた門人に、「小大隈」と後に呼ばれる永井柳太郎の姿もあった。それゆえ彼は恩師の手管を評するに、

 


侯の御演説は雪達磨と同じだ。最初は小さく見えても、それからそれへと、転がってゆく中に、だんだん周囲の雪がくっついて、素晴らしく大きなものになる」

 


 このような言辞をあてている。


 弟子の示した賞讃を、大隈はただ苦笑しながら受け容れた。

 

 

 


「アタマを良くする一番の方法についてだが…
 他人の気持ちを理解することだ、ってオレは思う」


「他人の気持ちを理解すれば、他人のアタマを使えるようになる。
 他人がどう考え、どう感じているかが自分に取り込めるんだ」


「そうすれば、1つの物事が、常に複数の視点から見えるようになる。それが一番、アタマが良くなるための近道だ…ってな」

 


 上に掲げた条々は、なんのことはない、最近遊んだ某インディーズゲームのキャラクターのセリフであった。


 一連の場面に触れたとき、先述した大隈重信の肖像が、急に意識の表層に雪崩れ込んで来た次第。

 

 

(『SAEKO: Giantess Dating Sim』より)

 


 どうやら私の脳内も、なかなか以って賑やかだ。

 

 

 

 

 


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