「未来世界の人間が、どんな姿をしているか?
そりゃあ勿論みんながみんな、揃って容姿端麗で、スラリとしていて背が高く、温和で上品で愛想がよくて健康で、高い知性のきらめきを宿しているに決まってるさね。
低能児に廃疾者、遺伝病者に不細工なんぞは綺麗さっぱり絶滅し、お伽噺の材料として字引の上に辛うじて影を留めているのみよ。

寿命は倍加し、たとえ元気を損なおうとも、ちょっとした注射や外科手術による腺の刺戟でたちまち活力よみがえり、いざ墓穴に横たわる、ほんの寸前、間際まで、ずっと『生』を
原子エネルギーの解放が無限の動力を齎して、およそ都市から昼夜の区別は消失し、こまごまとした家事の苦労ももはや無縁に、ただひたすらな自由ばかりが待っているに違いない。──…」
以上はすなわち「二十年の停戦」中に、英国が誇る文士であり記者である、フィリップ・ギブスの行った未来予測の一部であった。
いやさもう、甘ったるさも極まれりなこと、胃もたれ待ったなし的な、ようかんのチョコレート漬けのザラメがけにメープルシロップを添えた上、提供されているような、とにかく物凄いばかり。

(戦後、昭和のポン菓子屋)
この男に教えてやりたい。
文化の進歩は道行く男女をことごとく美男美女にはしなかった。
チビもノッポもハゲも肥満も心と体の性別が喰い違っているやつも、それらはみんなその人々の尊重すべき「個性」であると看做されて、この先ずっと存置せられてゆくだろう。
発達したコミュニケーションツールはむしろ人間の品位を堕落させる側にこそ
原子エネルギーの解放は都市を一瞬で消し飛ばし、何十万もの住民を殺戮する為にこそ役立てられた次第であって──ああ、まあ、つまり、要するに。
「地上の楽園」実現は永久に遠い理想だが、「現世の地獄」はいつだって、あらゆる抑止の努力を無視していとも容易く

(フリーゲーム『UTOPIA』より)
そんな当たり前のことを、古人の夢の残骸上にて改めて、奥歯の間でじっくりと、噛み締めさせていただいた。
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