ロシア人というものが切羽詰まればオーデコロンを飲みはじめる民族と、酒精ならでは夜の明けぬ、ジャンキーとして格の違う生命体であるのだと日本人が知ったのは、やはりこれまた日露戦争期間中のことである。
「ペトログラードでもモスコーでも、到る処の薬局が非常に繁盛してゐる、そんならロシア全国流行病でも発生したのかと云ふとさうでない。戦争以来国民の飲酒を厳禁したので、酒好きのロシア人は我慢が仕切れず、アルコールに香料を交ぜたオーデコロンを飲んで、酒に飢ゑてゐる腹を満足さす為めなのだ、往年日露戦争の時、日本に来た露兵の捕虜は、酒保で酒の販売を厳禁してあるので止むを得ず、安物の質の悪い香水を飲んで、酔興を満足させたが如く、少しでも酒の気がなければ堪らぬやうである」
この観察を行ったのは森御蔭。
南満洲鉄道会社の関係者。

ロシアの帝政、土崩瓦解のカウントダウン開始中、革命前夜の赤裸々な世態を衝いた文である。
従って「戦争以来」の記述はむろん、「第一次世界大戦勃発以来」と読み下して可であろう。
戦時下の国民生活が常軌を逸しがちなのは勢の赴く必然ではあるのだが、それにしたってロシア人らの呈するソレは、毎回毎回強烈な個性を帯びていて、我ら素朴な感性の島嶼国の住民はその都度たまげさせられる。

(『Metro Redux』より)
ときに筆者はこのところ、満足に酒が呑めてない。
わずかでも酔いを残したまま就寝し、熱帯夜を挟んだ場合、翌朝頭が鉄球みたく重くなる──二日酔いに苦しめられる確立が非常に高いということを経験から学んだゆえに。

繰り言は重々承知だが、それでも言わずにいられない。
これだから夏は嫌いなんだ。
本当、心底、厭な季節じゃあないか。
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