穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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都市伝説と時代相


 冥界に放送局でも建ったのか。


 ある時刻、ある周波数に合わせると、ラジオはにわかにスピーカーから幽霊の声を垂れ流す、呪詛の媒介機と化する──。


 戦前の都市伝説だった。

 

 

 


 霊の棲み処も時代に合わせて徐々にハイカラになるものだ。平成の御代、「呪いのビデオ」が大流行したように──VHSを足掛かりとして、山村貞子がブラウン管テレビからヌルっと這い出て来たように。


 あるいはまた、インターネット黎明期、ポップアップ広告を題材にしたフラッシュホラー、「赤い部屋」が好評を博していたように。


 怪談とは往々にして、時代相を色濃く反映うつすモノらしい。


 日進月歩で進化するテクノロジーを乗りこなすべく、悪霊もまた懸命なのか。そう考えると、ちょと愛嬌を感じてしまう。

 

 

(『Ghostwire: Tokyo』より)

 


 冒頭掲げた「幽霊のラジオ放送」なんぞ、当時誰ぞや恐れ知らずの好事家が録音に挑んでくれてれば。それがたまたま現代にまで、古民家の蔵か、さもなくば、骨董品屋の片隅にでも埃を被って転がってくれていたならば。──これはなかなか、ロマンをそそる妄想だ。


 ふとしたもののはずみから、その音源が動画サイトにアップされてしまった結果、幾星霜を経たことでむしろ強まった呪いによって祟りのパンデミックが起こるなぞ、ベタだがなかなか心が躍る、割と王道展開だろう。

 

 

Peirce wire recorder

Wikipediaより、鋼線式磁気録音機)

 


 そういえば昔、『零』なるゲームシリーズにても、霊石ラジオなどという際物めいた代物が登場していたものだった。


サイレントヒルでも敵の接近を報すため、ラジオは重要なファクターだった。


 ホラー作品とあの機器は、よほど相性が良いのだろうか。


 不気味な雰囲気、世界観を演出するのに格好な、そういう意味でも「便利な道具」であるらしい。

 

 

 

 

 


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