アメリカ最大の図書館はワシントンDCに見出せる。
言わずと知れた米国議会図書館だ。
アメリカ最大ということは、とりもなおさず世界最大ということだ。
(Wikipediaより、ワシントンDC)
昭和の黎明、帝国図書館館長である松本喜一がここを訪問した当時、日本語関連の書籍を扱う「日本課」主任は若い黒人男性で、彼の来訪を非常に喜び、芳名録を差し出して
「ぜひとも一筆、ご署名を」
と、興奮も露わに依頼している。
松本は、気前よくこれを引き受けた。
署名に必要な道具類──すなわち墨も毛筆も、向こうで提供してくれた。特に墨など、主任みずから手を動かしてせっせと磨ってくれている、ひたむきな丁重さであった。

松本喜一はドイツ、フランス、イギリスにも行き、己が仕事の肥やしとすべく、数多くの図書館を訪ね歩いた人物だ。ケンブリッジやオックスフォード大学の附属図書館等々も、その中には含まれている。
が、大抵の場合日本語書籍は「東洋の部」内に統合されて、支那の書籍と
そこをいくと米国議会図書館たるやどうだろう。まがりなりにも「日本の部」が設けられ、支那との間に画然とした区別が設けられていた。それだけでも松本喜一の身としては、好意を抱くに十分だったに違いない。
「大概の図書館では、単に所蔵してゐるといふだけなのだが、この議会図書館ではそれ等に簡単な解説を附して陳列してあった。その中には古書は勿論、明治以来の刊行物もあり、博文館の帝国文庫、あの中の発売禁止となった西鶴もの、春水の『梅暦』その他の人情本も見られた。アメリカの図書館中、日本の典籍の量からいってもだが、解説を附して一般の参考にするといったやり方をしてゐる点でこの議会図書館は最上のものである」
なにぶん、場所が場所である。
彼が墨痕を与えたところの芳名録も、ひょっとすると同図書館のいずこかに、今なお残って居るやも知れぬ。
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