相性が悪い。
「農家」と「自由貿易」とは、だ。
不倶戴天にすら近い。
自由貿易に反対するのが本邦農家の半分以上、伝統のようになっている。
伝統、そうだ、伝統だ。百年を

(福島の梨売り)
「農業イコール国防」との認識も、先人たちの手によって、とっくに確立済みなのだ。
嘘ではない。
表現を誇張してもない。
当時の帝国農会重鎮、岡田温の意見を叩けば、これは即座に見えてくる。
「我国は耕作に機械を利用する大農地のないことゝ人口が多くて仕事が少いのと肥料や農具や労銀や租税の高いために安く生産が出来ない故に天然資源の豊富な国の農作物とは競争不可能である。さればとて之れを自然に抛擲すれば米は熱帯米に小麦は南北米産に圧倒され直に食糧危機が起らう。我国が食糧の自給政策を抛擲し多額の食糧を外国より仰がざるべからざる状態になっても尚常に外国より安価に食糧を購入し得ると考ふるが如きは何等の根拠なき盲目滅法の妄論である。現在ですら我国の米作の豊凶がインドの米価を動かして居る。要するに保護政策は国民の多数に目前の不利益を及ぼす政策であるが、之がために種々の職業が栄え国民が種々の職業によって生活を営むことが出来る。これを不可なりとすれば保護政策は総て悪政で結局自由貿易論となるが我々農業者は自由貿易には反対である」
煎じ詰めれば、
──輸入食料品が安いのは国内農業生産が壊滅するまでの話である。
というのが、岡田の主張の骨格だ。
国内農家をぶち殺し、競争相手の居なくなった市場から、悠々たっぷり搾りとる。あくどい
そうしたことを述べている。
見ようによっては被害妄想的と言おうか、陰謀論の領域に片足突っ込んでいるかのように受け取れなくもないのだが、これは
フランクリン・ルーズヴェルトも「食糧は戦略物資なり」と定義づけていたりした。国家百年の大計を考える位置の人々は、これぐらいの危機感を持ち合わせてくれているのが望ましい。

国家といえば、岡田温は第十五回衆院選に出馬して、みごと勝利し、国政の場に躍り出ている。彼の意見が如何に世間に幅広く許容されていたものか、多少の参考になるだろう。
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