国の印象──。
大日本帝国の視点から遠望したアルゼンチンは先ず以って、「イギリスの食糧庫」程度に過ぎず。
反対に、アルゼンチンから眺めた場合の大日本帝国のイメージは、「ロシアを打ち負かした国」が、その殆んどを占めるであろう。
更に言を重ねれば、「自分たちのお蔭で勝てた」と考えている人々が、国民の中にかなり居る。
かの日本海海戦を華々しい勝利で以って飾ることが出来たのは、「自分の国から日進春日といふ二隻の軍艦を譲ってやったからだ」と正面から見栄を切られて。大阪毎日新聞社の特派員、浦田芳朗は覚えず真顔になったということである。
大正十一年、ブエノスアイレス到着早々、衝撃的な体験だった。
だがしかし、つらつら思えば無理はない。
顧みよ。大英帝国に於いてすら、連合艦隊司令長官・東郷平八郎殿が、ああも見事に丁字戦法を決められたのは我が国の優秀なウェールズ炭を燃料として潤沢に供給されていたからだ──と、まことしやかに囁かれていたことを。
なんなら二十一世紀現下でさえも完全には絶えてない、なおも根深く残存する説である。

(満洲、撫順炭鉱内観)
かつて真渓涙骨は「利用されるようにもなれば人間として一人前だ」と謳ったが。他所のお国のナショナリズムの昂揚に一役買えるようにもなれば、国家として一流どころであるのだろうか。
悩み甲斐のある命題である。
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