穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

※当ブログの記事には広告・プロモーションが含まれます

一流の条件


 国の印象──。


 大日本帝国の視点から遠望したアルゼンチンは先ず以って、「イギリスの食糧庫」程度に過ぎず。


 反対に、アルゼンチンから眺めた場合の大日本帝国のイメージは、「ロシアを打ち負かした国」が、その殆んどを占めるであろう。


 更に言を重ねれば、「自分たちのお蔭で勝てた」と考えている人々が、国民の中にかなり居る。

 

 

Aerial view - Palermo, Buenos Aires

Wikipediaより、ブエノスアイレスパレルモの森)

 


 かの日本海海戦を華々しい勝利で以って飾ることが出来たのは、「自分の国から日進春日といふ二隻の軍艦を譲ってやったからだ」と正面から見栄を切られて。大阪毎日新聞社の特派員、浦田芳朗は覚えず真顔になったということである。


 大正十一年、ブエノスアイレス到着早々、衝撃的な体験だった。

 

 だがしかし、つらつら思えば無理はない。


 顧みよ。大英帝国に於いてすら、連合艦隊司令長官東郷平八郎殿が、ああも見事に丁字戦法を決められたのは我が国の優秀なウェールズ炭を燃料として潤沢に供給されていたからだ──と、まことしやかに囁かれていたことを。


 なんなら二十一世紀現下でさえも完全には絶えてない、なおも根深く残存する説である。

 

 

満洲、撫順炭鉱内観)

 


 かつて真渓涙骨「利用されるようにもなれば人間として一人前だ」と謳ったが。他所のお国のナショナリズムの昂揚に一役買えるようにもなれば、国家として一流どころであるのだろうか。


 悩み甲斐のある命題である。

 

 

 

 

 


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
この記事がお気に召しましたなら、どうか応援クリックを。
 ↓ ↓ ↓

にほんブログ村 本ブログ 古本・古書へ