開戦から二十ヶ月で、二万九千八百人の教員が諸学校から姿を消した。
召集され、教壇から引っぺがされて、戎衣を着せられ兵隊として戦地に送り込まれたのである。

むろんこの、二万九千八百人の先生は、例外なく男子であった。
彼らは長らく親しんだ
これがため、教育機構が大変化。フランス全土の学校中で、なんと一万二千もが、今やまったく悉く女教師のみの手で
1916年、時のブリアン内閣が発表したデータであった。
教育の不備は時間差で、ボディブローのように効く。
コロナ禍中の学生がずいぶん不遇をかこったことは蓋し記憶に新しい。「リモート修学旅行」とか、想像するだに胃の痛くなる、弥縫策とも呼べないような苦し紛れの手を打って。あんな粗末な対応で、彼らの情緒の発達にどんな影を落とすやら──と、寄ると触ると心配されたものであったが。大戦期間のフランス政府の閣員も、似たような焦燥、危機感に、相当
一方そのころ日本では、パルプの輸入が途絶えたことで紙価全般が高騰し、ほとんど奪い合いになり、斯かる騒ぎに教科書さえも巻き込まれ、値上げ断行、その結果、貧困層を中心に、出るわ出るわ不平百出、手のつけられない始末であった。
どうして輸入が途絶えてしまったかというと、「第一パルプを作る木材はスウェーデンにも出来るが大部分の供給を仰いで居るポーランドが独軍に占領されたこと、第二には其の製造に要する石炭が英国から来なくなり硫黄がイタリーから来なくなり、綱や松脂の産地であったオーストリアが戦乱の巷となったこと、第三には縦令材料の供給は十分であっても元来パルプは綿火薬に使用される点から戦時禁制品と」なったからであるそうな。

資源に乏しい日本国の弱点が、改めて浮き彫りになった形であった。
指摘自体は予てよりさんざん為されて来たのだが、皮膚に直接迫るが如く、生々しく実感したのは或いは今回この時が初めてだったのではないか。
「我等の子孫を我等よりも更によきものたらしむるといふことは凡そ人間の為し得る仕事の内の最も高尚偉大なるものであって、即ち広い意味に於ける教育といふものは政治の最高なるものと云ひ得るのである」。──京都帝国大学教授、心理学者野上俊夫の示した思想。
(Wikipediaより、野上俊夫)
まったく然りだ、教育も政治、戦争も政治。
更に付け加えるならば、今も昔も政治というのはおしなべて註文通りに運ばない、不如意と妥協の連続体であることが半ば常識になっている。
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