穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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酒は呑むべし登楼もすべし、そして勉強もするが好い


 三日で三万五千樽。


 明治二十二年の二月、憲法発布の嘉日に際し、帝都東京市民らが消費した酒の量だった。

 

 

Kenpohapu-chikanobu

Wikipediaより、憲法発布略図)

 


 数はほとほと雄弁である。明治人らが如何に浮かれ騒いだか、口を大きくおっぴろげ、つばき・・・を飛ばし、めでたいめでたいと我を忘れておらびあげる様までが眼前に髣髴たるようだ。


 まず馬鹿売れと呼ぶに足る、この事態を受け酒の価格は当然高騰。早く常態に復してくれと悲鳴まじりの哀願が今に伝えられている。

 

 

 


 新潟といい、飛騨といい。豪雪地帯は良酒を醸す印象だ。雪解け水だの谷風だのと、そのへんの要素がうまく噛み合う結果であろう。


 白川郷を訪ねた後は、当然高山市の方にも足を延ばした次第であった。

 

 

(飛騨東照宮より市街を望む)

 


 外国人観光客の怒涛に揉まれ弄ばれつつ、酒屋を求めて路地から路地へ、古い家並みを出入りする。

 

 

 


 そして得た。

 

 

 


 清酒と濁酒、ひとつづつ。


 自分のための土産としては、これで十分。


 開けるのがとても楽しみだ。

 

 

 


 礼を正し


 労を医し、

 

 憂を忘れ、


 鬱を開き、


 気をめぐらし、


 病を避け、


 毒を解し、


 人と親み、


 縁を結び、


 人壽を延ぶ、


「酒の十徳」を完璧に満たす、質の高さを期待する。

 

 

 

 

 

 

 


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