またずいぶんと蔵書が増えた。
読書の秋に相応しいイベントの数々。そういう場へと、なるたけ足を運んだ成果だ。
古書が増えれば必然として、新聞紙の切り抜きやら、名刺やら――先代、先々代の所有者の私物類もまた増える。
以前の記事で「運命からの贈り物」とか、スタンドの矢を前にしたディアボロ気取りで名付けたヤツだ。
やはり色々見つかった。
たとえばこれ、昭和十七年十月二十九日の某新聞紙。
わざわざ広告欄を切り取っている。薄っすらとだが、色鉛筆の跡も確認。次に購う書籍でも選定していたのだろうか。
なお、この三日前に南太平洋海戦が行われ、空母ホーネットが沈没している。
お次はこちら。
登録
秩父多摩国立公園観光みやげ
秩父羊羹
本舗八幡屋本店
電話十番
と読むのであろう。
いつぞやの「おわら玉天」を彷彿とする和菓子包装。
これもやはり、手書きだろうか? ならばかなりの達筆だ。で、気になって調べたところこの八幡屋、どうも現存しているらしい。
明治三十五年創業、秩父神社の鳥居前にて暖簾を掲げる和菓子屋が、なにやら
いつか訪ねてみたいところだ。
昭和十一年発刊、杉村楚人冠著『と見こう見』後見返しに書かれていた文字。
昭和十三年九月十四日本郷郁文堂書店にて求む
石川 操
か。
この郁文堂も今日までちゃんと残ってるから驚きだ。
過去への扉は存外多く、そこかしこに見出せる。
短冊。
触り心地は悪くない。
謹呈 澁澤敬三
とある。
新紙幣の顔、渋沢栄一の孫の名だ。まさに彼の著作たる、『犬歩当棒禄』中に挟んであった。
個人的に親交のあった人が先代なのか? ちなみに函欠。まあ別にいい、読めさえすればそれでいい。
――とまあ、ここまでは発見を素直に喜べた品揃いだが。
最後に紹介するこちら、
セピア色の写真ばかりは、流石に少し面食らう。
服飾史には詳しくないゆえ、年代の特定は叶わない。雰囲気からなんとなく、仲のいい母娘のような気配もあるが、さてどうか。
ちなみに裏はこのように。
四隅に打たれた墨痕がいったい何を意味するか、これまたさっぱりわからない。
ところでこれ、肖像権とか、そういうのはセーフだろうか?
問題があったらすぐ消そう。写真自体はもともと挟んであった書籍にちゃんと戻してしまっておいた。そのまま静かに、ゆっくりしていてくだしゃんせ。
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