久々に身の裡に慄えが走った。
まずはこれを見て欲しい。
昭和十一年刊行、『刀談片々』見返しに記されていた墨痕だ。
謹呈
自著
本阿弥光遜(花押)
と読める。
日本刀で本阿弥といえば、少しその道を齧った者ならすぐにピンと来るだろう。
室町から続く研師の一族、武士の魂の切れ味を、極限まで発揮せしむる技術の持ち手。
鑑定もまたその生業に含まれて、含まれるどころの騒ぎではなく、明治維新前までは本阿弥家のみが鑑定書――折紙と称する――発行の独占権を所有していた。
そういう男の署名入り著書――。
(本阿弥光遜)
ありがたい。
こんな掘り出し物にぶち当たれるとは。
連休の混雑を押してまで古書探訪に出向いた甲斐があったというものである。
心して読ませてもらうとしよう。
嗚呼、結局のところゴールデンウィークだろうがなんだろうが私の余暇の使い方は変わらない、活字に埋もれて過ごすことになりそうだ。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
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