穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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室戸岬讃美曲


 うたがある。


 ここ幾日か触れて来た室戸岬にまつわる詩だ。


 折角なので紹介したい。

 

 

こゝは四国の南端の
日本八景随一の
黒潮高鳴る室戸岬

豪宕ごうゆう雄大たぐひなき
奇岩乱立狂ひ獅子
波はくだけて花と散る

霊気遍満東寺あづまでら
千古の法燈影ながく
めぐる緑樹の香ぐはしや

前は渺茫太平洋
潮ふく鯨の浮き沈み
船歌うれしなつかしや

燈台燭光二百萬
照らす海原はて知らず
便りに船やる人や誰れ

 

 

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室戸岬水産青年学校)

 


 昭和二年、室戸岬上高地華厳滝雲仙岳などと同様、日本を代表する景勝地――日本新八景の一つとして選ばれた。


 そのことが、よほど嬉しかったらしい。ついこういうお国自慢の詩が編まれる。


 可憐であろう。その無邪気さは愛するに足る。なんとなれば褒められて素直に喜べる人間性こそ、愛嬌の原型であるからだ。

 

 

MurotoCape

 (Wikipediaより、室戸岬

 


 室戸岬の燈台は、今日でもなお建設当初の姿をとどめ、百六十万カンデラの光を海原に投射し続けている。

 

 

 

 

 


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