首都東京の西郊外たる青梅市に、昭和の器物を蒐めた博物館があると聞きつけ俄然私は興味を惹かれた。
電車を乗り継ぎ、ホームに降りれば、早速のこと右から左読みの古式ゆかしい看板が。
街の方でも何が求められているのかよく心得ているらしく、相応しい二つ名が刻まれている。
駅前の様子。曇り空だが、これはこれで雰囲気が出て悪くない。
路地を通り、
まずは住吉神社へ。
応安二年(1369)からこの街を見守ってきたという由緒正しいこの社は結構な高台に位置しており、参拝を済ませて振り向くと、
このように、広く街を見渡すことが出来るのだった。
さて、こちらが今回の目当てである昭和レトロ商品博物館。
奇しくもこのとき、訪客は私一人のみであり、おかげで心ゆくまで展示物を眺めることが出来たのである。
この「いこい」という煙草を好きだったのが私の祖父で、うまそうに吸っていたということである。
夢枕獏屈指の名著、『神々の山嶺』に出てきたようなカメラの姿が。
右下に見える「写ルンです」。これとよく似た商品を鞄に詰めて修学旅行に赴いた、青春時代のあの日々よ。
懐かしきホーロー看板の数々。
これとそっくりな一枚が、未だ故郷山梨のとある路地のコンクリ塀に現役で掛けられていたはずである。今度帰省したときは、忘れず撮影することにしよう。
左上のクレンザーに激しく記憶野を刺激される。私の家の台所にも、かつてアレが置かれていたのだ。
カメラに筆箱、時計にミニチュア、ヨーヨーと、コカ・コーラ関連のグッズは数多に及ぶ。『フォールアウト』シリーズでそのキャップが通貨に使われるのにも納得だ。
まさか軍人将棋まであるとは。『こち亀』でこれが登場した回は面白かった。
薬品類。
カプセル出現まで服薬の花形を担っていたオブラートの姿も。かつての勢威こそ失いはしたが、「オブラートに包んで」という表現は、未だ我々の生活の中で生き続けている。
総評として、実にいいものを見せてもらった。有意義な時間を過ごせたという満足感を抱きしめて、再び青梅駅へと戻る。
冬枯れの山も悪くない。
折角ここまで来たのだから、すぐ近くの河辺駅で降りて「梅の湯」にも寄っていく。
考えてみれば、登山の帰り以外であそこに浸かったのは初めてのこと。
相も変わらず、いい湯であった。
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