穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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楚人冠の見た悪夢

 

 寝苦しい夜が続いている。
 日中の熱気が、夜になっても去らない所為だ。
 こういう場合、普通は眠りが浅くなり、曖昧模糊な夢に浮かされるらしい。


 ところが私の肉体は、どこか回路を組み間違えでもしたものか、まるで別な反応を示す。ここ最近、ちっとも夢を見ないのだ。


 暗闇の中意識が途切れ、次に我を取り戻したときにはもう、朝の太陽が昇っている。

 夢すら見ない深い眠りに就いていたとしか思えなく、これだけ寝汗をかいて、肌がベタつく不快感の只中に置かれながらよくもまあ、と我ながら呆れつつ起き上がる。それがここ数日来の、私の一日の始まりである。


 体力回復の面からいっても熟睡は喜ばしいことであろうが、あまりに夢を見過ぎないでいるというのもなにやら物足りないというか、無性に心寂しいものがある。
 仕方がないのでここはひとつ、他人の夢日記でも引っ張ってくることにしよう。
 杉村楚人冠の見た夢だ。

 


 ある夜の夢に、けふは犬殺しデーだといふので、大道の到るところに犬が毒を飲まされてごろごろと死んでゐた。中にはまだ死に切らずに苦しんでゐるのがあって、その側に飼い主の子供がおいおいと泣いてゐる。目も当てられぬ様である。と見て夢が覚めた。(『山中説法』130頁)

 


 彼は彼で妙な夢を見るものだ。
 犬――毎日毎日こう暑いと、全身毛皮のあの連中もたいへんだろう。

 

 

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 夏は苦手だ。気象庁の週間天気予報が真っ赤に染まっているのを見ると、グロ画像を直視したとき以上の精神的ダメージを喰らう。これは独り私だけの習性ではあるまい。


 それでも去年に比べればまだマシか。昨年度の目覚めに付き纏ってきたものは不快感どころの騒ぎではなく、起床と同時に既に熱中症の兆しがあらわれていた


 フライパンの上で生活させられているような、あの試練を潜り抜けた私なら、今年の夏とてきっと乗り切れることだろう。経口補水液を飲みながら、そんなことを考えた。

 

 

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