穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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夢路紀行抄 ―狂人哀歌―

 

 夢を見た。
 正気を失わんとしてあらゆる手段を講ずれども甲斐がなく、ああ、何故俺は狂うことすら満足に出来んのだと嘆き悲しむ男の夢だ。
 夢野久作の読み過ぎである。先日、全集を買ったのだ。

 

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『猟奇歌』は生田春月とは別のベクトルで魅力的なうたである。
 ――と、ここまで書いてあの言葉を思い出した。すなわち、

 

 病的な行動への過度の興味は、それ自体病的なものなのだ。

 

 という、アーサー・C・クラークが『3001年終局への旅』の中で記したあの言葉を、だ。
 もう少し早く、そう、夢の中にいる間に思い出せていたのなら、あの男に

 

 ――大丈夫、お前さんはとっくに立派な狂人だよ。

 

 と、お墨付きを渡せたろうに。慙愧に堪えない。可哀想なことをした。

 

 

 


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