穢銀杏狐月

書痴の廻廊

事は起すに易く、守るに難く、其終りを全くすること更に難し。努力あるのみ。一途に奮励努力せよ。

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2022-09-09から1日間の記事一覧

おひざもとの蓆旗

――あのころの江戸は酷かった。 遠い目をして老爺は語る。 彰義隊の潰滅直後、「明治」と改元されてなお、人心いまだ落ち着かず、荒れに荒れたる百万都市の有り様を。 その追憶を、落ち窪んだ眼窩の底に満たし、言う。 私の十五六の時分ですから、今から六十…